アパレル大手のワールドが実践した会社を再生する方法(後編)

 

ワールドの創業者と会社の成長について知っておく

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(photo by Webサイト)

 

 株式会社ワールドの創業は1959年。

 

 アパレル会社の社員だった畑崎氏と木口氏の2人が独立してスタートした。当時のファッション業界は、老舗がひしめく時代だったので難しかったのは間違いない。

 

 創業者2人は、後発が同じことをやっても勝ち目はない。

 他社との差別化を図るために新機軸で攻めた。

 



 


 そんな取り組みでスタートしたワールドが急成長を遂げるのは、1990年代に入ってからです。

 

 1993年に決断。

 アパレル卸から、商品企画から小売りまで手がけるSPA(製造小売り)へ会社の舵を切ったのです。

 

 日本のアパレルメーカーは、1社1ブランドという戦略で進んでいたのに対し、ワールドはブランドを増やす戦略を打ち出す。

 

 創業者の1人、畑崎氏は1997で社長退任。

 


 その後、ワールドの社長は、畑崎氏の義弟の寺井氏が就任。

 

 2000年に入ると、百貨店を主力とする他のアパレル企業に先駆けて、

 

 

 

 ショッピングセンターやファッションビルに積極的に出店した。


 しかし、リーマン・ショックが起こる。

 

 また、日本の法律が変わったこともあり、日本国内にショッピングモールが乱立し始め、ショッピングモール同士の競合・アパレル店舗同士の競合と市場が激化。

 

 売れない店舗がセールや割引を乱発したことで、価格競争に突入し、定価で購入するという消費者が全くいなくなった。

 

 さらにユニクロやジーユーなど、日本のファストファッションがものすごい勢いで消費者に浸透。

 

 ブランドの価値が低下した結果、ファストファッションの低価格帯に合わせるようにアパレル店舗が増え続けためにワールドが戦える市場が徐々に遠のいたのです。

 

 もちろん、ワールドの利益は急減。

 2013年は7億円の赤字。

 

 2014年は16億円の赤字。

 

 と2期連続の赤字に会社が陥ったのです。

 

 この危機的状況で創業者からバトンを受け取ったのが、新社長の上山氏。

 

 さまざまな企業を再生させるプロ経営者です。

創業家以外から誕生した新社長の上山氏

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(photo by Webサイト)

 

 創業家以外から初の社長が上山氏。


 ワールドは、「リストラをしない」など創業者が守り続けていたものがある。創業家ではできない部分を外部の上山氏に託した格好なのです。

 

 上山氏は、東大出身の経営者。

 住友銀行・カーチスホールディングス・長崎屋・GABA・ぐるなびなどの要職を歴任し、すべての企業を再生させてきたプロの経営者です。

 

 プロ経営者として、ワールドを再生させるには適任だったのでしょう。

 

 2013年12月にワールド入社(常務執行役員)。2015年にワールドの社長に就任。企業再生を託されたのです。

 

社風を守る創業者ができない部分にメスを入れた

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(photo by Webサイト)

 

 創業家が出来なかったのが、大規模リストラ。

 

 上山氏がワールドを再生するにあたり、1番初めに手を付けたのが大規模なリストラ。企業再生するときのスタート手段です。

 

 1.1年以内に不振ブランドを廃止。

 

 2.不振店舗を500店閉鎖。

 

 3.人員削減。

 創業家では店舗を拡大してきた経緯や投資したお金がある以上、決断には躊躇する。創業家が出来ない再生を打ったのです。

 

 元銀行マンという財務の知識が強い上山氏だからできた手法も知っておく必要がある。

 

 それが財務諸表の精査です。

 元銀行マンという経歴・複数の企業を再生してきた経験が財務諸表を立て直す技術を持っているのです。

 

 決算説明会では、

 赤字決算を黒字決算に発表。

 

 2015年3月期(45億円の黒字)、2014年3月期(20億円の黒字→16億円の赤字だった)という遡って発表したのは全員が驚きました。

 

 赤字が黒字になったのは、日本会計基準から国際会計基準に変更したことがとても大きい。会計基準を変更してなければ、赤字の可能性もあった。

 

 プロ経営者だからできることなのです。

 

  上山氏の社長就任時を振り返ると、

 「損益決算書を変える」と公言してきたこと。

 

 最初の目標とした2017年3月期の営業利益を100億円としていた。誰もが難しいと思っていた目標は、結果を見ると144億円。

 

 目標を計画通りに達成したのだ。

 


 会社が劇的に変わったワールドの次の展開は、どうなるのか?今後の事業展開がプロ経営者の手腕の見せ所になるのです。

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