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「ジェイフェリー（J.FERRY）」が民事再生を申請

ファッションブランド「ジェイフェリー（J.FERRY）」が民事再生法の適用を申請した。

負債総額は、56億円。

ジェイフェリーは、1992年設立。銀座にも店舗を構えるなど、全国30店舗以上を展開していました。今回の民事再生法の申請の背景には、10年以上にわたる粉飾決算が判明。

売上高は当初44億としていましたが、実際は25億6千万。多額の簿外債務も重く、自主再建を断念したのです。

申請時の負債総額は、約60億13百万でした。

ジェイフェリー（J.FERRY）とは

ジェイフェリーは、主に20〜30代女性向けのブランド。

ジェイフェリーのブランドは、

• J.FERRY
• 003 J.FERRY
• J.FERRY OUTLET SELECT
• MAISON

などを展開。

東京の銀座に本店を構え、ショッピングモールやアウトレットに店舗を出店していました。しかし、ジェイフェリーは2016年以降、販売不振が続いた模様です。

「ジェイフェリー（J.FERRY）」１店舗当たりの売上高とは

ジェイフェリーの１店舗当たりの売上高を考えてみます。

当初44億円という発表だったので、30店舗と仮定すると、1店舗当たりの売上高は1億3千万でした。しかし、実際は25億。同様に30店舗と仮定すると、1店舗当たりの売上高は83百万。

１店舗当たりにすると、

およそ▲5千万も乖離があったということになるでしょう。

「ジェイフェリー（J.FERRY）」は、なぜ民事再生を申請したのか

１店舗当たりの売上高を計算してみましたが、5千万の乖離は大きい。

ファッションの原価率を50％と想定した場合、本来、1店舗当たり2500万の利益が手元に入るはずが残らない。これでは、自主再建も難しい。

では、さらにジェイフェリーを検証していきます。

まずは、出店する場所から見てみましょう。

「ジェイフェリー（J.FERRY）」が展開するショップリスト

場所	形態	店舗名
東京	ビル	J.FERRY自由が丘
東京	ビル	J.FERRY銀座本店
東京	ビル	J.FERRY表参道
東京	ビル	J.FERRYジェイストリート
東京	ビル	J.FERRY B
東京	ビル	J.FERRY PRESS
千葉	百貨店	J.FERRY 千葉
神奈川	SC	J.FERRY みなとみらい
神奈川	百貨店	J.FERRY たまプラーザ
大阪	SC	003 J.FERRY八尾
東京	ビル	003 J.FERRY PRESS
千葉	SC	J.FERRY GRAND STORE柏
千葉	SC	J.FERRY GRAND STORE木更津
岐阜	SC	J.FERRY GRAND STORE各務原
愛知	SC	J.FERRY GRAND STORE熱田（1月19日閉店）
愛知	SC	003 J.FERRY ナゴヤドーム
京都	SC	003 J.FERRY 京都桂川
大阪	SC	003 J.FERRY 伊丹昆陽
兵庫	SC	003 J.FERRY 神戸ハーバーランド（5月26日閉店）
和歌山	SC	J.FERRY GRAND STORE和歌山
千葉	SC	MAISON TOKYO幕張新都心
愛知	SC	MAISON TOKYO熱田
東京	ビル	MAISON TOKYO銀座
埼玉	SC	MAISON TOKYO越谷
広島	SC	J.FERRY SPIRNG MONN THE OUTLETS HIROSHIMA
北海道	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 千歳アウトレットモールレラ
宮城	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 仙台
東京	SC	J.FERRY OUTLETSELECT ヴィーナスフォート
千葉	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 酒々井
愛知	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 名古屋みなと
滋賀	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 滋賀竜王（2月27日閉店）
岡山	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 倉敷
福岡	SC	J.FERRY OUTLETSELECT 福岡

上記の通り、2019年5月末時点でホームページに記載されているのは、33店舗。

そのうち、2019年5月末までに3店舗が閉店。ショップリストを見てわかるように出店する場所は有名なところが多いようです。

「ジェイフェリー（J.FERRY）」の出店場所を読み解く

さて、ショップリストを見ていただきました。

ジェイフェリーは、全国にお店がある。

そして、どこでも変えるようなイメージを持っていただけたのではないでしょうか？ここでショップリストを見て「あっ！？」と気づいた方は凄いかもしれません。それは、出店場所のブランドです。

では、同じリストを運営者のブランド別に置き換えてます。

場所	運営	店舗名
東京	–	J.FERRY自由が丘
東京	–	J.FERRY銀座本店
東京	–	J.FERRY表参道
東京	–	J.FERRYジェイストリート
東京	–	J.FERRY B
東京	–	J.FERRY PRESS
千葉	–	J.FERRY 千葉
神奈川	住商	J.FERRY みなとみらい
神奈川	東急	J.FERRY たまプラーザ
大阪	–	003 J.FERRY八尾
東京	–	003 J.FERRY PRESS
千葉	セブン	J.FERRY GRAND STORE柏
千葉	イオン	J.FERRY GRAND STORE木更津
岐阜	イオン	J.FERRY GRAND STORE各務原
愛知	イオン	J.FERRY GRAND STORE熱田（1月19日閉店）
愛知	イオン	003 J.FERRY ナゴヤドーム
京都	イオン	003 J.FERRY 京都桂川
大阪	イオン	003 J.FERRY 伊丹昆陽
兵庫	イオン	003 J.FERRY 神戸ハーバーランド（5月26日閉店）
和歌山	イオン	J.FERRY GRAND STORE和歌山
千葉	イオン	MAISON TOKYO幕張新都心
愛知	イオン	MAISON TOKYO熱田
東京	–	MAISON TOKYO銀座
埼玉	イオン	MAISON TOKYO越谷
広島	イオン	J.FERRY SPIRNG MONN THE OUTLETS HIROSHIMA
北海道	–	J.FERRY OUTLETSELECT 千歳アウトレットモールレラ
宮城	三井	J.FERRY OUTLETSELECT 仙台
東京	三菱	J.FERRY OUTLETSELECT ヴィーナスフォート
千葉	三菱	J.FERRY OUTLETSELECT 酒々井
愛知	イオン	J.FERRY OUTLETSELECT 名古屋みなと
滋賀	三井	J.FERRY OUTLETSELECT 滋賀竜王（2月27日閉店）
岡山	三井	J.FERRY OUTLETSELECT 倉敷
福岡	–	J.FERRY OUTLETSELECT 福岡

上記の通り、置き換えてわかったこと。

それは、あるショッピングモールに依存していた。ということでしょう。それがイオン系のショッピングモールです。全国33店舗（閉店含む）を展開中、イオン系が13店舗。さらにアウトレットを加えると、三井・三菱・イオンの３社で6店舗。実に全33店舗中、19店舗がイオン系や三井系でした。

ここまでわかったこと。

• 全国に店舗を出店していた。
• イオン系が多かった。
• 6割の店舗が商業施設だった。

というようにジェイフェリーは、ショッピングモール・アウトレットなど多くのお客さんが集まる場所に集中的に店舗を構えていました。これは、全国展開を計画して出店を加速するという意味では間違いありません。

全国のお客さんに「ブランドを認知させる」。

もっともわかりやすく、スピード感があるやり方です。

でも、気をつけなければいけないこと。それは、紹介できませんが。そこの詰めが甘かったのでしょう。

「ジェイフェリー（J.FERRY）」が民事再生を申請した本当の理由

ジェイフェリーについては、もっと詳しく検証が可能ですがこの辺でまとめておきます。

ジェイフェリーが民事再生を申請した理由

• 自力での再建が困難
• 多額の簿外債務
• 商業施設への多店舗展開

などがあったでしょう。

もっとも民事再生へ舵を切った最大の理由は、商業施設（ショッピングモールやアウトレット）への出店でしょう。高額な家賃やその他費用等、売上が下がっても家賃は下がりません。また、契約期間の設定も会社にとって、痛手だったと思います。

商業施設への出店は、メリットもデメリットも発生します。

出店場所を客観的に判断し、経営に与える影響を計算し、売上や利益だけではなく、人材の採用からフォローまで出来るかどうか。見える部分と見えない部分の想定をどこまで計画に落とし込めるかが勝負なのです。

ジェイフェリーは、全国展開している上に商業施設への出店が多い。

整理整頓するには、時間がかかる。

今後の課題も山積みでしょう。