アメリカンイーグルの業績推移を見ると日本撤退の真相が分かる

FOREVER21に続き、2019年12月末でアメリカンイーグルも日本撤退する

日本で「American Eagle Outfitters(アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ)」を手掛けていた青山商事(洋服の青山)は、2019年11月25日に国内全店舗およびECサイトを全て閉店すると発表。

アメリカンイーグルが日本撤退を決定しました。

青山商事のイーグルリテイリングが運営していた「American Eagle Outfitters(アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ)は、2010年から、米AEO社のフランチャイジーとして日本国内の店舗を展開してきました。2012年4月に「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ 東急プラザ 表参道原宿」をオープン後、2019年11月末時点で店舗数は33店舗。

青山商事と米AEO社との契約期限は2022年までとなっていましたが、2019年6月に2019年中を期限として米AEOへ事業譲渡する検討を開始。その結果、日本からの事業撤退を決定したのです。

ちなみにファストファッションで話題となった「FOREVER21(フォーエバー21)」も2019年10月末で日本から撤退していきました。

FOREVER21に関する詳しい内容は、こちら

アメリカンイーグルの国内売上高は122億円だった

日本のアメリカンイーグルは、どの店舗も大型店と印象が強い。

「American Eagle Outfitters(アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ)」の国内売上高は、2019年3月期で122億円。国内での店舗数は、33店舗だったので1店舗当たり3億7千万。おそらく売れている店舗であれば、年商5億の店舗もあったのではないかと推定ができます。

しかし、売上高に対して、利益は13億円の赤字

「洋服の青山」を展開する青山商事は、アメリカン・イーグルが足を引っ張るかたちとなっていたのです。米AEO社とのフランチャイジー契約期間は、2022年2月まで。結果的に契約期間を残しての契約終了となって日本撤退となった模様です。

アメリカン・イーグル・アウトフィッターズの旗艦店「表参道店」と「池袋店」が閉店

2019年6月にアメリカン・イーグル・アウトフィッターズの旗艦店「表参道店」と「池袋店」が閉店すると発表していた。

「表参道店」は、日本上陸1号店として2012年4月オープン。

「アメリカンイーグル 表参道店」は、都市型の商業施設「東急プラザ 表参道原宿」の明治通り路面店に店舗を構えていた。店舗は、地上2階から地下1階までの3フロア。

売場面積は、1,157㎡(およそ350坪)の超大型店。


「池袋店」は、日本4号店として2012年12月オープン。

「アメリカンイーグル 池袋店」は、地上2階から地下1階までの3フロア構成。

売場面積は、1,455㎡(およそ440坪)の超大型店。

「池袋店」は、アメリカンイーグルの中でも国内最大店舗と位置付けられていましたが残念ながら旗艦店を閉鎖。この2店舗の閉店は今回の日本撤退に繋がっていたのです。

アメリカンイーグルを展開する「株式会社イーグルリテイリング」とは

青山商事は、2010年12月に住金物産(現 日鉄物産)との合弁会社 株式会社イーグルリテイリングを設立。

アメリカのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ社のフランチャイジーとして日本でのアメリカンイーグルとインティメイトブランドのエアリー事業を運営してきました。

会社概要は、こちら。

社名 株式会社イーグルリテイリング
設立 2010年12月21日
本社 東京都渋谷区神宮前6-10-11 原宿ソフィアビル4階
事業 各種衣料品及び服飾雑貨の販売に関する事業
資本金 1億円
従業員 1,130名(パート含む)
売上高 123億(2019年3月)
株主 青山商事株式会社、日鉄住金物産株式会社
役員 代表取締役社長 奥島賢二
銀行 三井住友銀行

アメリカン・イーグルを運営する「株式会社イーグルリテイリング」の業績推移

イーグルリテイリングは、2010年に青山商事90%、住金物産10%の合弁で設立されました。

アメリカンイーグルのピーク時は、2017年3月期に34店舗(売上高148億円)を記録しましたが、国内の競合やファストファッションブームの衰退で既存店が前年割れとなり、15億円の営業損失となりました。

それでは、業績推移を見てみます。

売上高 営業利益
14年 61億(前年139%) ▲7億
15年 94億(前年152%) ▲0.8億
16年 146億(前年155%) 0.7億
17年 148億(前年101%) ▲15億
18年 136億(前年91%) ▲8億
19年 123億(前年90%) ▲13億

イーグルリテイリングの業績推移は、上記の通りでした。

2019年3月期の営業利益率は、▲9.5%。大きくマイナスとなりました。それでは、2014年から2019年までの店舗数の推移、1店舗当たりの売上高を確認します。

店舗数 1店舗
14年 8店舗 8億6千万
15年 18店舗 5億2千万
16年 28店舗 5億2千万
17年 34店舗 4億4千万
18年 34店舗 4億
19年 33店舗 3億7千万

上記の通り、2014年から2016年までは毎年10店舗を出店、2017年から2019年までは1店舗閉店という結果でした。

さいごに アメリカン・イーグル・アウトフィッターズの失敗とは

アメリカン・イーグルの日本撤退は、1店舗当たりの売上高推移を見て分かるように2014年当時は、1店舗で8億の売上を上げていたものの2019年3月末時点で1店舗当たり4億円以下。

つまり、6年前と比較すると半分の売上高となっていた。

店舗面積が100坪を超える大型店は、1店舗当たり5億以上の売上高は欲しいところ。しかし、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズの出店場所は、三井不動産の商業施設「ららぽーと」やイオンの商業施設「イオンモール」などのショッピングセンターブランドが多く、これらの賃料は総じて高い。さらに出店する場所も大型店で一等地が目立っていたこともあり、賃料比率も高かったと推測できる。

日本撤退となった理由は、

  • 出店スピードが早かった
  • 出店する物件選びが甘かった
  • 店舗増加で目新しさが無くなった

とファストファッションの衰退との報道もありますが、このような視点も捉える必要があるでしょう。

FOREVER21(フォーエバー21)やアメリカンイーグルの日本撤退。次に来るのは、ZARA?H&M?という外資系のファストファッションはこれからも目が離せないでしょう。

記録として残した「American Eagle Outfitters(アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ)の店舗一覧」も紹介しておきます。

それでは、また。

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