流通の巨人 世界最大のウォルマートが日本撤退|西友売却を発表

西友の売却を発表!ウォルマートが日本撤退

 2018年7月12日、世界最大の流通「ウォルマート」が日本撤退を発表。

 

 ウォルマートは、国内スーパー大手の「西友」を売却する方針を決定したと報道がありました。西友の売却先には、国内流通大手や投資ファンド、総合商社などのようです。

 

 西友の業績は低迷。日本撤退のスピードを早め、スムーズな売却に向けて今後は店舗の統廃合を加速させる可能性があるようです。

 関係者によると、ウォルマート側から国内の流通大手や投資ファンドなどに売却の打診があったようです。西友は、全国展開で規模も大きく、交渉の先行きは不透明なのが現状です。

過去3年間で閉店相次ぐ。西友は、残り335店。

 大きな話題にはなりませんが、西友は過去3年間で30店舗強を閉店しています。

 

 2015年 27店舗閉店

 2016年   6店舗閉店

 2017年   3店舗閉店

 2018年   5店舗閉店(7月時点)

 

 その結果、2018年7月時点、西友は335店。

 

 おそらく3年以上も前から立て直しか売却を選択したと予想されます。

西友売却額は、3,000億から5,000億規模と予測

 西友の売却額は、3,000億から5,000億規模になると予測されています。

 

 売却先は、流通大手や投資ファンド。

 

 流通大手と言えば、2強。

  イオン(8兆2,101億)

  セブン&アイ(5兆8,35億)

 

 このどちらかに売却する可能性があるのでしょうか。しかしながら、流通大手2強は、総合スーパーが苦戦中。イオンはダイエーを買収し、売上高は増えたものの回復の兆しは見えず。

 

 セブン&アイも総合スーパー「イトーヨーカドー」を50店舗近く閉店するなど、西友を取り巻く環境は非常に厳しいのが現状です。

 

 その中、波に乗っているのがディスカウントストア。

 ドンキホーテホールディングス(7,595億)

 トライアルカンパニー(3,719億)

 

 この2社は出店攻勢であり、ドン・キホーテは長崎屋の立て直しなど実績があることから西友の立て直しを図ることが出来るのは、ドン・キホーテという見解もあるようです。

外資系スーパーは日本で成功するのが非常に難しい

 インターネット、スマートフォンの普及でネット通販が爆発的に増えている中、今後の戦い相手は、競争店ではありません。

 

 戦うのは、ネット通販の巨人 アマゾン。

 

 2018年6月末、アメリカのトイザらスが全店閉店。

 (2018年6月末、アメリカのトイザらスが全店閉鎖(全200店舗)

 未だに競争店は、◯◯店。これから調査してくるというような考えの会社は今後厳しくなってくるでしょう。

 

 さて、ウォルマートが日本に進出してきたのは、2002年頃。

 西友と2002年に包括的業務提携契約を締結し、当初は西友株6.1%を保有。その後、その後段階的に買い増して2008年に完全子会社化しました。

 提携開始当初までは業績の低迷が続いたが、ウォルマートの「エブリデー・ロー・プライス(EDLP)」(毎日安売り)と呼ばれる、特売日を設けず安い価格を毎日提供する手法を採用し収益の回復を図ってきました。


 外資系スーパーは、ウォルマート意外にも日本に進出していましたが、次々と撤退していきました。

 カルフール(フランス) 2005年撤退。

 テスコ(イギリス)   2013年撤退。

 

 ちなみに1999年に日本に進出した米会員制卸売りの米コストコホールセールは、会員数を増やし、店舗数を増やしています。

 日本人向けの商売は非常に厳しいという結果でしょう。

西友の売却には、見えないコストが発生する

 西友は、イオン(旧ダイエー・旧サティ)などの店舗と同様で建物の老朽化が激しい物件もあります。

 

 買収する側は、このような投資コスト(店舗改修)も見込む必要があり、さらにシステム投資、商品の品揃え見直し等、見えないコストも発生するはずです。


 結果、西友の買い手は限定される。

 このような見方もされています。

 日本は、高齢者化も激しく、郊外は過疎化。今求められているのは、大型店ではなく、コンビニサイズの小型店です。

 どちらのお店に行くか?

 

 1.少し遠いが安い大型店

 2.近くて通常価格の小型店

 

 多くの方が、近いお店を選ぶはずです。それがセブンイレブンが伸び続けている理由とも言えるのではないでしょうか。

西友の誕生と歴史。振り返れば、厳しい現実

 西友の誕生は、1956年。

 

 西武百貨店を中心とするセゾングループの中核で一事業部門を独立させて創設した「西武ストアー」が前身です。

 1960年代以降にスーパーのチェーン展開を進めて事業規模を拡大。

 

 しかし、バブル期のノンバンク子会社の不動産過剰投資で巨額の不良債権を抱え、財務体質が悪化。

 日本進出を目指していたウォルマートは、2000年に住友商事の仲介で、2002年に西友と包括提携。

 

 2008年に完全子会社。

 その後、ウォルマートの完全子会社となった西友は、ウォルマート流の安売り手法を取り入れて経営再建を進め、店舗改装・商品棚の入れ替え・価格の表示方法まで大きく変更しました。

 

 しかし、収益性が回復しない状況が続く。


 西友の特徴は、駅前店などの好立地が多い。

 一方で、西友は業績低迷が続き、老朽化した店舗が多いのも事実。

 

 総合スーパーは、イオン・セブン&アイも収益が悪化し、買収に乗り出す企業は少ないとみられています。結果、売却交渉は難航することも予想されます。

 

 売却が決定したとしても店舗や人員リストラが加速する恐れも懸念されます。

ウォルマートの現状と今後の世界戦略は明確に進行中

 ウォルマートは2016年に米ネット通販企業「ジェット・ドット・コム」を30億ドル(約3300億円)で買収しました。これは、ネット通販のテコ入れです。

 ウォルマートの世界戦略は、シンプル。

 

 「需要増が見込める市場に集中投資」

 2018年5月、インドのネット通販大手フリップカート株の77%を160億ドル(約1.7兆円)で取得すると発表。一方、2018年6月には、ブラジル事業の80%を米投資ファンドに売却し、採算性の悪い市場からの撤退も進めています。

 西友の売却先に注目です。

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