世界的ブランド「ZARA」をファッション業界が真似すべき理由
最近、日本のファッション業界の動向に注目が集まっていますね。
その理由は、業績不振のニュースが相次ぐから。
例えば、2015年に大きく話題となったワールドの大量閉店。アパレル大手だったワールドが500店舗閉店と従業員のリストラに舵を切ったのはファッション業界にも衝撃的でした。
日本では閉店ラッシュが続く中、海外のファッション業界はどうなっているでしょうか。
世界最大規模のファッション展示会「マジック(Magic)」は、年2回開かれる展示会です。この展示会で最大のテーマとして掲げられたことは、
小売業者がいかに迅速に消費者が求める新商品を市場に投入できるか。
ということでした。
このテーマは、ファッション業界に限らず、流通業・小売業に携わる人々にとって永遠のテーマでしょう。そして、この最大のテーマを議論する上で模範的なポジションとして登場したのが「ZARA(ザラ)」だったのです。
ZARAは、スペインのファッションブランド。
グローバルに展開しており、もちろん日本でも全国に店舗展開しています。よく見かけるのは、大型商業施設「ららぽーと」や「イオンモール」などのショッピングモール。ZARAの店舗は、大型区画で一際目立っていますよね。
ZARAの強みとは、
- 新しさ
- 季節感のなさ
- 来店客数
という3つの強みを武器に従来の枠組みを超えて躍進するブランドとでも言えるでしょう。
今、ファッション業界に足りないものは「新しさ・希少性」ですよ
世界的に見れば、ZARAは大注目。
しかし、日本でZARAはあまり受け入れられていないと言えるでしょうね。店舗に足を運べば、お客さん少ないなあ。と思うこともしばしば。でも、そこそこ売れている気はします。
なぜ、ZARAは受け入れられないか。
それは、日本市場は独特だから。
海外から日本に進出してきた「H&M(エイチ&エム)」「ZARA(ザラ)」「FOREVER21(フォーエバー21)」「OLD NAVY(オールドネイビー)」「AMERICAN EAGLE(アメリカンイーグル)」は、1号店はニュースなどで話題になったけど、最近は話題にもならない。
そして、日本から撤退した
- OLD NAVY
- FOREVER21
- AMERICAN EAGLE
は、大型商業施設などで出店拡大していきましたが、残念ながら日本から去っていきました。
記録として残しておいた店舗情報は、「FOREVER21|超大型店・大型店・小型店|全国店舗一覧」や「AMERICAN EAGLE|超大型店・大型店・小型店|全国店舗一覧」から確認できます。
では、今も存在し続ける「H&M」と「ZARA」は、現在どうなっているか。
店舗視察に行く限り、H&Mは賑わいを見せているお店もありますが、ZARAは正直厳しいのではないか。そんな気がしますよね。外資系ブランドが日本市場で成功するのは難しいのが現状と言えるでしょう。
日本市場でダメなら、どうすれば?
そう、海外に目を向けていれば良いことですよね。
世界のZARAは、「新しさ」&「希少性」が他社と圧倒的に違う
世界のZARAは、何に取り組んでいるか。
- 新しさ
- 希少性
この2点に全力を注いでいるのです。
アメリカのコンサルティング会社によると、ZARAが提案する価値は「新しさ」と「希少性」だと指摘しています。
ZARAの戦略は、『売り切り御免』。
そして、商品の増産はしない。
ここが他社と違うところでしょう。
ZARAのお店へ来るお客さんの「来店回数」と「在庫回転率」が凄すぎる!
ZARAは、「新しさ」と「希少性」で勝負していると紹介しましたが、数字で見ていきますね。
例えば、ファッション業界の平均的な来店回数といえば、年4回。
それに対し、ZARAの来店回数は、平均17回。ZARAを愛するファンの方々は、月1回の頻度でお店に行ってるということになるのです。年4回しかこない店舗と比較すると、来店頻度が全く違うということがわかるでしょう。
ZARAは、なぜ来店回数が多いのか?
その理由は。
ZARAファンの人たちが「いい商品を見つけたい」「新商品はどのようなものか」「まだ買っていない商品がないか」というような顧客心理を利用した上で最大限の売上アップに繋げているのではないかと分析されています。
さらにZARAの在庫回転率も非常に高い。
在庫回転率が高いということは、常に商品の入れ替えが行われている。つまり、「商品の鮮度が高い」とも言えます。食品スーパーなどで生鮮品を扱う方なら分かるかもしれませんが、野菜・肉・魚は鮮度が命。だからこそ、商品回転率で見ていきます。生鮮品なら基本的に1.5日くらいで回転させます。優秀な人なら、0.8日くらいですが。
ファッション業界も鮮度が命。
つまり、トレンドや流行が重要ということですね。
大手企業の決算短信などを読んでいれば、在庫回転率の話題も見受けられます。
ファッション業界が業績不振になる要因として
- 気候
- 気温
- 流行やトレンド
特に気候や気温の影響を大きく受ける業界ですね。
自然環境に対応することは難しいですが、商品の鮮度(流行やトレンド)を追いかけることは可能でしょう。
ZARAは商品鮮度が高い。
ということは、ZARAの商品が作られてから店舗に並ぶまでのスピード感も早いということですよ。スピード感があるからこそ、新鮮な商品を店頭に並べることができ、来店回数が多いから商品が売れていく。
その結果、売り上げが上がっていく。
ZARAは数字でも凄い!を実現しているのです。
ZARAの商品鮮度を維持できる理由は、生産工場と店舗の距離に秘密がある
ZARAの来店回数と在庫回転率が高いとお話してきました。
単純計算するならば、
在庫を減らして売上高を上げれば、在庫回転率は上がるでしょう。そんな声も聞こえてきます。でも、在庫を減らして売上高を上げることは実際に出来るでしょうか?
出来るけど。。。
と答えませんか?
なぜなら、売れ筋商品だけを集めて売ることは出来ても継続することは難しいからです。食品なら可能ですよ。日々の生活に欠かせない物だから。でも、ファッションで実現するためには難しい。
そこでZARAの戦略です。
ZARAは、65%以上が生産工場と店舗までの距離が決まっている。
ご存知でしたか?凄いという一言。
ZARAの店舗と生産工場の距離が基準として決められていることで、
- 商品は工場から1日以内
- 4,400店舗まで空輸が可能
という物流の仕組みまで整えているのです。
その結果、ZARAの在庫回転率がファッション業界内でも最高水準を維持することが出来ているのです。
ZARAを真似すれば「商品のデザインから生産、店舗に並ぶまでの時間を短縮することができる」と言えるでしょう。ZARAのように全ての期間を短縮することで得られるメリットもあります。
- 値引販売をしなくて良い
- 値引が発生しても作業が少ない
というようにファッション業界はセールやバーゲンが付きもの。定価販売が出来ずに売れ残った商品は、値引する。この作業が意外と大変であり、システムで値引登録する作業時間や値札を貼る作業時間など余計な仕事が発生します。
全ての作業において人件費がかかる。
長期的に見れば、スピード感を持つことでコスト削減に繋がることがよくわかります。
日本のファッション業界も取り組んでいますが、ZARAをお手本とすることもありでしょう。
ファッション業界の商品改革は、常識を打ち破る覚悟が必要
ファッションといえば、「季節」。
しかし、ZARAには季節が無い。いや、季節感はあるけどスピードがあるから無いに等しいと言えるんです。
それは、商品が2週間毎に入れ替わるから。
ファッション業界で当たり前だったのが年4回の春夏秋冬という季節。ZARAは、これを年間26回に分類し新商品を展開しているので季節感が無いと言えるのです。
消費者のショッピングする環境が変化し、買い物の頻度がこのペースが適している。
ZARAの考え方です。
小売各社は商品の調達プロセスを時代や消費者の変化と共に合わせていくべきですね。ZARAが実践しているから真似することも大事でしょう。
ファッション好きなら、新しいトレンドを見つけるとすぐに行動を開始します。
そして新商品を買うでしょう。
ZARAの考え方は、1年以上も先のことを予測できるか?
ZARAは難しいと答える。
だからこそ、ZARAは「1年から1年半先のトレンドを予測して紹介するサイクルのビジネスモデル」は通用しないと判断し現在に到るのです。
インターネットで世界は変わった。
でも、ファッション業界は変わっていない。
あらゆる情報がリアルタイムで収集できるような世の中で、最新情報がどんどん飛び交う時代に消費者の同行を予測することは不可能なのです。
予測ビジネスは時代遅れ。
また、日本に限らず地球の温暖化や災害の増加で季節の変わり目も無くなってきている。
予測ビジネスは、さらに時代遅れ。
季節の変わり目がわからない時代において、消費者は従来のファッション業界のルールに従わない。
時代に合わせた変化が必要ということでしょう。
では、これからどうするか?
- シンプルなデザイン
- 季節感がなく使用できる
- 商品や色を選べる
- 素材や機能性を重視する
日本ではユニクロが実践していますよね。
ユニクロの店舗情報は、「UNIQLO|超大型店・大型店・小型店|全国店舗一覧」でチェックできます。
まとめ ファッション業界は商売の原点を戻ることが重要
ファッション業界は、流行やトレンドが重要であり、デザイン性は必要でしょう。
ただ生き残るためには、「商品が売れること」を考えよう。
これからもファッション業界で商売をしていくなら、デザインより売れることを考えるべきですね。デザイン性がどんなに優れていても商品が売れなければ意味がない。
どこに問題があるか?
原因を突き止める必要もあるでしょう。
例えば、デザイナー。デザインの完全性や商品の出荷時期において揉めることもありますよね。
デザイナーがこだわって作った服。それに合う完璧なボタンや完璧な糸、完璧を実現するデザイナーなら妥協は許さないでしょう。もちろん妥協するくらいなら作らない方が良い。
細部にこだわるからこそ、良いができる。
でも、消費者が本当に求めているものは何か?
完璧な姿のボタンなのか、完璧な糸なのか、商品の完成度なのか。消費者から見れば、ボタンはボタン。糸は糸。デザインは重要であり、デザイナーも必要。
消費者が求めているのは、スピード感。
これが欲しいと思った時に店舗にある。そして、選べる。その結果、商品が買える。すぐに着ることができる。
新商品はすぐに店舗に並べるべき。
商品は「売れるもの」であるべきだから。
商売の原点とは何か。
店舗の販売員としては、売りたいときに商品がある。お客さんが求める商品を店舗に並べたい。お客さんの笑顔を見るために全力で接客をしている。
入荷した商品を並べるだけが商売ではありません。
仕事は楽しくすることですね。
それでは、また。