世界最大の無印良品が誕生した背景にあったイオンの戦略とは
photo 良品計画
2018年3月20日、世界最大の無印良品がオープン。
世界最大の無印良品の店舗面積は、なんと1300坪。無印良品の店舗でも超大型クラスとなります。超大型店の無印良品が出店するのは、イオン系のショッピングモール「イオンモール堺北花田」。
イオンモール堺北花田は、大阪府堺市にある超大型ショッピングモールです。
詳しくは、「イオンモール堺北花田|商業施設ガイド」をどうぞ。
今回、無印良品が出店するイオンモール堺北花田には、1階に無印良品が店舗を構えていました。その大きさは、150坪程度。全国の無印良品の店舗タイプですね。
その無印良品は1階の店舗を一旦閉店。
そして、移転という形で世界最大の無印良品をオープンさせました。
世界最大の無印良品は、無印良品が展開するレストランも併設する
世界最大の無印良品。
店舗面積が1300坪と広大なため、無印良品が展開する飲食店「Cafe & Meal MUJI」も合わせて出店します。ちなみにレストランの店舗面積は120坪程度。レストランの店舗面積を抜いても1200坪ほどの超大型店の無印良品が誕生するのです。
無印良品は、「食」をテーマとする大型専門売り場を配置。
スーパーマーケットや産直などでよく見かける生産者との繋がりを考えた売り場展開もあります。
2017年7月にオープンした「無印良品 有楽町店」で仕掛けたのが野菜・果物の販売。その最新型が大阪に進出するのです。
生鮮食品は「産地直送」を基本。
- 野菜
- 生肉
- 鮮魚
いわゆるスーパーマーケットで展開しているような商品を販売します。
さらにここに加えて無印良品が厳選した
- 加工食品
- パン
- 惣菜
- 乳製品
- ジュース
なども揃えていきます。
食の専門店で購入した物は、店内に設置してあるフードコートでその場で食べることも可能。
もっと充実しているのがエンターテイメント。
お客さんが体験する場所を提供することでもっと無印良品を好きにさせてくれる工夫があります。それは、旬の素材をシェフが伝授する料理教室です。
お客さんが無印良品で体験する場。
無印良品はエンターテイメントも徹底的に追求していきます。
世界最大の無印良品が誕生した背景とは
世界最大の無印良品として話題になったイオンモール堺北花田。
大阪府堺市に世界最大の無印良品が出店できたのは、デパートの撤退に関係していたのです。
2017年7月31日に閉店した「堺北花田阪急」。
全国のイオン系ショッピングモールでもデパートが出店しているのは数える程度。関西で人気のある「阪急百貨店」が出店するということで大きく話題になりました。
堺北花田阪急は、2004年10月28日オープン。
この商業施設はダイヤモンドシティというディベロッパーが開発。オープン時の名称は、「ダイヤモンドシティ プラウ」という名前で総合スーパーのイオンとデパートの阪急百貨店が核テナントとして出店していました。
ちなみにイオンはまだありますよ。
2017年7月にデパートが撤退し、残された面積はおよそ5000坪。
堺北花田阪急は、1階から3階までを占めるデパートでした。その跡地にどのような店舗が出店するのか話題になっていましたが、そこに登場したのが世界最大の無印良品でした。
無印良品にとって最高の立地だったんでしょう。
イオンモール堺北花田の主力テナント「堺北花田阪急」はなぜ撤退したのか
堺北花田阪急の撤退は赤字が原因。
2016年3月期の売上高は88億円。
そして赤字は▲2億円。
大型ショッピングモールのデパートでも赤字に陥ることがあるんですね。
過去の売上高を調べてみると、
堺北花田阪急の最大ピーク時の売り上げは100億円以上。
そして黒字でした。
2004年から2014年の10年間は黒字を叩き出していたようですが、2015年に赤字に転落。
突然の赤字転落ということではないようで、この赤字に関連しているのが2014年10月大阪府和泉市にオープンした「ららぽーと和泉」や2016年3月に直線距離5キロにオープンした「イオンモール堺鉄砲町」などの影響が大きかったのではないかと推定できます。
デパートと大型ショッピングモール。
足を運ぶお客さんが少し違いますよね。
広域からも集客できた大型ショッピングモールだったイオンモール堺北花田が競争環境の変化に対応することは難しかったのでしょう。そもそもデパートはお客さんの目的が違いますから。
堺北花田阪急を運営する阪急阪神百貨店は、このほかにも閉店を決めており2016年1月にあまがさきキューズモールのお店も閉店していました。今回の閉店に伴う費用としては、7億8千万円の減損損失を計上しています。
そして、世界最大の無印良品ができた理由。
それは、
- 競争環境の変化
- デパートの撤退
この2点が関係していたようです。
世界最大の無印良品を呼び込むことができたイオンの戦略とは
世界最大の無印誕生にあった背景。
阪急百貨店が撤退したことが大きく関係したことを紹介しました。
きっとイオンとしてもこの広大な面積を埋めるために必死だったでしょう。5000坪の面積をどうするか?デパートの売上高100億円クラスのテナントをどうやって誘致するか。
頭を抱える問題ですね。
さらに問題なのが直線距離5キロにできた「イオンモール堺鉄砲町」でしょう。
イオン系の大型ショッピングモールが乱立しているのは、岩手県盛岡市にある「イオンモール盛岡」と「イオンモール盛岡南」ですね。
グーグルマップで見てみると、
というように盛岡市にイオンが2つ。
そしてその距離は、およそ4キロ。
この近さでもイオンは共存していることから、イオンモール堺北花田とイオンモール堺鉄砲町は大丈夫という判断だったのでしょう。
では、イオンの戦略を考えてみます。
阪急百貨店が撤退する前のイオンモール堺北花田の店舗数は、およそ150店舗。
デパート跡地の5000坪を埋めるには、
5000坪 ÷ 50坪 = 100店舗
商業施設の50坪でも大きいですが、仮に50坪で計算したとしても100店舗も集める必要がある。
でも、2016年3月にオープンしたイオンモール堺鉄砲町がある以上、100店舗も誘致することが可能でしょうか。
まず、難しい。
そう判断するのが妥当ですね。
そこでイオンの戦略は、超大型店の誘致へ動き出した。
と考えられるでしょう。
本音は分かりませんが。
そこで検証のためにイオンモール堺北花田のフロアガイドを見てみましょう。
このフロアガイドを見る限り、
阪急百貨店が出店していたエリアには、無印良品・ユニクロ・GU・エディオンが出店しています。
100店舗も集めるよりも良かったのですね。
デパート跡地には全部で9店舗が出店しています。超大型店で広大な坪数を埋めたことで色々な問題を解決することができたのでしょう。
まとめ 世界最大の無印良品が誕生した背景にはイオンの戦略があった
今回は、世界最大の無印良品という店舗にフォーカスしました。
全国的に見てもショッピングモールの数には限りがある。そして、大型区画は手に入れにくい。
出店者側からすると好立地は出てきませんよね。
大体、妥協して出店します。
世界最大の無印良品が誕生することができた背景には、イオンの戦略をあったのではないでしょうか。
ちなみにイオンモール堺北花田の売上高はどうなるか?
阪急百貨店が1店舗で88億円。
無印良品・ユニクロ・GU・エディオン・その他合計9店舗で100億円を売ることは可能でしょうか?
まず、無理でしょう。
核テナントが撤退したショッピングモールは集客力は落ちるはずですね。
今後も社会情勢や競争環境によっては同じことが起きるかもしれませんね。
だからこそ、店舗のファン作りは大切なんです。
ショッピングモールに出店しなくてもお客さんが呼べる店舗になるまでは徹底的にトライ&エラーを繰り返し、お客さんに支持されるお店を作り上げていかなければお店は残っていかないでしょう。
数字は嘘つきません。
数字を見て改善していきましょう。
さて、いつも行く無印良品はどこですか?
無印良品の店舗をさがすなら、「無印良品 MUJI|超大型店・大型店・小型店|全国店舗一覧」をご覧ください。
近くに超大型店があれば、いいですね。
それでは、また。