「商業施設」の出店契約書と契約締結に関わるチェックポイントについて

「商業施設」の出店契約書について、チェックポイントを抑えておく

2019年6月10日 最新版へ更新。

お店を出店する際に避けて通れないのが「契約書」。

こちらでは、「商業施設」の出店契約書を締結する前に知っておきたいチェックポイントをご紹介します。

 

これから契約書の

  • 締結を進める方
  • 契約を検討している方

は、参考となるはずです。

 

一つずつ、確認していきます。

出店契約書を締結するまでの順番や段取りについて

出店契約書の締結について、順番や段取りなどを含めた流れをご存知でしょうか。

 

契約書は、記入・押印だけでは全く話になりません。

しっかりと中身をチェックしましょう。

 

チェックと言っても、チェックポイントだけ抑えておけば難しくありません。

例えば、契約書に記載されている

  • 契約条件
  • 特記事項
  • 条項や条文

を熟読しているでしょうか?

 

契約書は本当に重要です。

出店後も契約書に基づいて、あらゆることを判断されていきます。

 

契約書についてわからないこと、疑問なことなど全て相手の担当者へ聞きましょう。また、契約書は何度も何度も読み返し、必ず納得した上で契約をかわしてください。

 

ここからは、契約締結に必須となる部分を抜粋し、ポイントごとにまとめています。

 

今回ご紹介するのは、

  1. 契約書
  2. 敷金
  3. 保証金
  4. 売上歩合(率)
  5. 契約期間
  6. 営業時間
  7. 工事費
  8. 設計
  9. 出店区画

などについて、わかりやすくまとめました。

 

それでは、順番に説明します。

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契約についての心構えを覚えておく

いきなり「契約」という説明をする前に心構えを覚えておきましょう。

 

契約という行為は、急いではいけません。

まずは、

契約締結に「時間をかける」。

ことを覚えておきましょう。

 

契約は、急いだり焦ったりして締結するものではありません。

契約書を締結する双方が納得し、約款など全てのことを納得した上で実施するものです。そのため、「時間をかけること」が最も重要なのです。

 

「時間をかけること」は、良いこと?悪いこと?

良いとか悪いとか関係ありません。

 

契約相手に失礼のない範囲で時間をかけることは全く問題ありません。

つまり、「営業に間に合わない」など、致命的なものでなければ時間をかけるべきです。

 

契約前も契約後も商業施設と出店者は、対等な立場です。

 

ディベロッパーの担当者によっては、ワザと契約を急がせるなどあらゆる手法を使ってきます。きちんとスケジュールを伝え、期限を守り、契約を進めていけば問題ないのです。

次は、契約書についてご説明します。

1.「契約書」は、要望を考え伝える

ここからは、専門的な部分になります。

まず、お聞きします。

 

契約を出店契約書を締結する前、何を考えていますか?

  1. 契約について考えている
  2. 言われた通りに契約する

さて、どちらが多いでしょうか?

 

上記の内容でアンケートを取った場合、

おそらく8割〜9割の会社が「2.言われた通りに契約する」に該当するでしょう。

 

その理由は、

契約書についての知識が無いから

たったこれだけです。

 

先程述べましたが、

ディベロッパーと出店者は、対等な立場です。

常に頭の中に入れておきましょう。

 

そもそも「契約」という行為に有利な立場はありません。

 

だからこそ、契約書について要望を伝える

これは、重要な行為なのです。

 

なぜ、要望を伝えるか?

契約前の要望なら、「契約書と照らし合わせ、会社(ディベロッパー)が対応できる可能範囲で答える」とされているからです、

 

この知識は、ほとんどの方が知りません。

知っているとしてもごく僅か。

契約を交渉したことがある担当者且つ大手企業などに勤めていた開発系の実務担当者レベルしか知りません。

 

しっかりと覚えておいてください。

 

ちなみに契約書に記載されている内容は、ディベロッパー側とすると基本的に変更したくないし、内容に触れたくないと思っています。だからこそ、出店契約書について中身をしっかりと読まなければなりません。

 

ただし、出店者側が契約前にしっかりと判断しないと、出店後に不利になるような条項も多く見受けられます。

そのため、契約書は妥協しない

というのが好ましいと考えておきましょう。

2.「敷金」は預けるだけでお金が生まれないもの

次は、「敷金」です。

「敷金」は、預けるもの。という認識で間違いありません。

 

しかし、金額を指定された敷金で良いのでしょうか?

これは、「NO」です。

 

敷金は、預けなければいけませんが、基準額を預ける必要はありません

 

敷金の考え方は、リスク回避をするためのもの。

だからこそ、預けてもらう分にはたくさんあった方が好ましい。だから、非常に大きな金額となるのです。ただし、注意も必要です。

 

敷金に利息は付きません

 

何百万も何千万も預けても、預けた分が戻ってくる?だけです。

敷金の金額交渉は必須です。

 

ちなみに敷金の金額は、人気物件ほど高い

ここは、認識しておいた方が良いでしょう。

3.「保証金」は預けない方向に持っていく

次は、「保証金」です。

「保証金」とは、元々ディベロッパーがまかないきれない開発費をテナントに負担させる目的で発生したものです。店舗賃貸借契約とは無関係で、「金銭消費賃借契約」によって差し入れられるものです。

 

保証金は、退店時に即、返還されるとは限らず、「無利子で10年間据え置き/その後10年間で均等償却」等の返還条件が出店者の資金繰りを苦しめてきました。

 

さらにディベロッパーが破綻した場合、保証金が不良債権化し返還不能となる事態もある。

要検討しなければならないものです。

 

不動産の証券化等の市場資金導入が定着し始めたとは言え、信用力のある有力なディベロッパーを除いては未だ保証金が商業施設開発の重要な資金となっています。出店時の開発資金負担を完全になくす事は現実的に難しいですが、敷金への一本化する交渉が最も重要なことです。

 

つまり、敷金しか払わない。

会社方針として確立しましょう。

4.「売上歩合」は店舗の売上や利益に直結する

次は、「売上歩合」です。

お店を営業する際、賃料として大きく負担しなければならないのが、固定費となる「売上歩合」です。

 

多くのお店が頭を悩ます部分でもあります。

 

歩合営業料は、「最低保証売上+歩合営業料」という形が基本です。

ということは、稼ぐお店で高い歩合営業料を設定してしまった場合、多くの賃料を払わなければならないということになるのです。

 

ちなみに最低保証売上をつけない契約の会社など、契約形態は様々です。

 

商業施設で経営し成功するには、

売上は最大化、歩合は最小化

がキーワードなのです。

 

まずは、交渉をしてみましょう。

5.「契約期間」の目安は、2年〜3年が好ましい。

次は、「契約期間」です。

多くの経営者と面談し、「契約期間」について聞くと長い方が良い。と答える方が多い傾向です。

でも、その根拠はなぜか問いをすると答えられない。

 

過去、契約期間は長い方が良いとされてきました。

しかし、現在は違います。

 

インターネットなどの爆発的な普及で、近隣に競争環境が出来なくても売上がどんどん下がるようになっています。

 

つまり、今までは外的要因(競争店が開店する)が発生すれば、売上が下がったという結果が多かったものの、現在は違います。見えない外的要因によって、売上が下がるようになってきているのです。

 

その結果、どうするか?

契約期間は長くても短くてもダメです。

 

時代の流れに合わせること。

これが重要です。

 

契約期間が長いと売上が下がったときに利益を圧迫します。

利益を圧迫し、赤字になっても契約期間までは解約できません。解約できても多額の違約金などを支払う必要があるのです。つまり、契約期間が長いのは自社の首を締めることになりかねないのです。

 

だからこそ、契約期間は2年〜3年が好ましい。

お店が無くなったら、どうするか?

 

新しいお店を出せばいいでしょう。

高い家賃を払って居座る必要も無いからです。

 

契約期間は、期間が長い方がリスクと考えましょう。

6.「営業時間」は短いほうが経営には優しい

次は、「営業時間」です。

ここは、非常に難しい案件です。

 

基本的に営業時間を変更することは出来ません

 

しかし、営業時間がお店の利益を圧迫するのも事実。

田舎で営業時間が22時とか23時までだった場合、売上はどのくらい上がるでしょうか?

おそらく売上高は、ほぼゼロ。

 

21時以降の売上は数パーセントです。

実際に22時まで営業しても売上が無いお店もたくさんあります。

営業時間に耐えられるか?

 

さらに問題があります。

  • コスト増を吸収できるか
  • 人材確保は可能か
  • 現場士気は低下しないか

上記3点を目視で現場で判断してください。

7.「工事費」をしっかりと提示させ、見えない費用を見える化する

次は、「工事費」です。

商業施設のリニューアルや店舗の改装に伴う工事費。

 

店舗の工事費用は出店者が負担しますが、工事の項目によってはディベロッパーの指定業者しか出来ない工事もあります。

これが厄介な案件なのです。

 

「店舗内装監理費」や「指定業者制度」は出店案内に記載がありますが、契約書には細かく記載されていません。ディベロッパーの表に出てこないものなのです。

 

ディベロッパーのからくり。

それは、

出店契約の金額を抑えて、工事費を高く設定する。

この点は、何も言えません。

 

ディベロッパーが賢いとしか言いようがありません。

商業施設は、あらゆる方法で出店者から利益を奪い取る仕組みを抱えているのです。

8.「設計指針」で店舗設計や内装をやり直さないようにする

次は、「設計指針」です。

設計指針とは、出店する建物のコンセプトや規定が決まっているものです。

 

店舗設計などは、「設計指針」に法って行わなければなりません。

これに違反すると、やり直し

を命じられることもあります。やり直しは、実費です。

 

絶対に指摘されたく無いものです。

 

ちなみに実際にペナルティ(修正工事)を命じられた店舗もあります。

設計・工事もルールを守らなければなりません。

 

そして、注意したのが費用が高いこと。

ディベロッパーの指定業者は、一般の工事業者より2割から3割は高く設定されています。商業施設によっては、5割増しという業者を指定するディベロッパーもあります。

 

しかし、費用負担は出店者。

 

契約書を締結しているため、費用が高くても従うしかありません。

最初の段階で粘り強い交渉が必要です。

9.「出店区画」をしっかりと判断し、売上を最大化する

次は、「出店区画」です。

 

出店区画は、ほとんどが選べないということを認識しておきましょう。

ただし、出店する前や案内前なら希望は言えます。

 

そこで出店してはいけない区画とは。

  • 排煙ボーダー
  • 防火シャッター
  • 避難通路

上記3点が店舗の目立つところにあれば、やめておきましょう。

 

なぜなら、入店の妨げになるからです。

意外と重要です。

 

出店区画は、目視で判断し、お客さんが入店しやすい区画なのかをしっかりと決めてください。

ここで間違うと、売上が落ちるのは確実です

 

出店者は、消防上の規制も知らなかったでは済まされません。契約交渉時に強硬に主張し、結果は図面(物件区画の平面図/天井図/四方向立面図)を添付し、契約文書として記載すべきです。

 

契約締結前であれば、避難通路分は家賃面積から除外するのが当然。

指定業者は絶対に拒絶しなければなりません。

 

内装規制は自社のVMD手法と店舗環境表現を損なわないギリギリのラインで交渉すべきであるし、受け入れられないなら出店交渉を打ち切るべきなのです。

 

契約直前で揉めた場合、

店舗設計も詰められず、業者の相見積もりが取る時間もなくなり、店舗人員の募集や在庫の手当までも経費の負担がのしかかる。ディベロッパーからも開店が迫ってくると全体の進行が狂うから、受け入れられるはずのことも拒絶するしかなくなる。

 

そんな事態を避けるには、テナント側がこれらの条件を記載した出店条件基準となる指標を作成し、出店交渉に先んじてディベロッパーに提示するべきなのです。

 

それがダメなら始めから出店すべきではない商業施設で無かったとすぐに割り切りましょう。

そのほうが会社負担も最小限に抑えられるはずです。

さいごに

商業施設の出店は、どうするか?

 

出店することは、

最大のチャンスであり、最大のリスクである

という言葉を覚えておきましょう

 

店舗の業態・業種によっては、会社が成長するチャンス。

3年後、5年後の姿が創造できるか?出来ないか?

 

出店が最大のチャンスと読むときは、条件提示された賃料がいくらか?

その場で次の出店依頼もあるか?

 

全てを総合的に客観的に判断しましょう。

 

経営者の判断は、重要です。

 

出店を加速した企業の末路。

多くが閉店に追い込まれています。結果は見えています。失敗は繰り返します。歴史ある企業などを研究し、同じ経験を繰り返さないということを頭に入れておきましょう。

 

出店に重要なのが「スクラップ&ビルド」。

赤字は閉める。

これが鉄則です。

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